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8月15日、終戦の日に寄せて。
「跫の薄赤紙(あしおとのうすあかがみ)」と「結の銀翼棺(むすびのぎんよくかん)」についての解説です。この2曲は第二次世界大戦末期の1組の男女を想像して制作したもので2曲で一対となります。そのため、この2曲はもし自分が戦時中に生きていたら、そしてもし特攻隊の飛行機に搭乗していたらということを想像して制作しました。
自分の中では綺麗とは言い難い楽曲となります。何故ならばこのそれぞれの主人公は共に命を落とすことになるからです。しかも、離れ離れの状況で。
1曲目の主人公は描いていませんが空襲で、2曲目の主人公は迎撃の後追撃されて。
実際にはかなり終戦間際を想像して描き、2曲目の主人公が空を飛んでいる時点で玉音放送が始まっている(ただし、玉音放送開始直前に飛び立ったこともあり厳しく問い詰められなかった/ほぼ最後に飛び立った特攻隊員)状況を想定しています。
今後、二度とそういった悲劇が起こらないよう、祈るばかりです。
-想像したシチュエーション-(フィクションであり、登場する人物、団体は架空のものです)
今年も葉月に入ろうとしています。
愈々本土は食糧不足に追い込まれ、配給もまゝならない状況となりました。
畑に植えた野菜や果物は全て食べ尽くし、
本来食べない植物の部位にまで手が出て、それも尽き欠けている状況です。
周りの人々は飢餓に苦しみ、命を落とす者まで出ている始末です。
その様な折に、私の愛する人に赤紙とは思えない薄い赤色の召集令状が届きました。
青褪め乍らも是は御國の為なのだと喜ばねばなりません。
兵役が終わるころには生きて帰つてくると信じ、私は笑顔で送り出しました。
列車に揺られ何時間経過しただろう。
この列車の中にはやせ細つた人々しか乗つていない。
人の事は云えないが。やはりほとんど戦力は残つていないと考えて良いだろう。
列車を降りるとすぐに飛行場へ招かれた。
ここで二週間ほど飛行訓練すると訊く。
飛び易くする為、軽量化しており、薄い翼との説明を受けた。
だが、皆薄々気付いていたのである。金属がもう尽きていると。
葉月も中央に差し掛かり、当日になつて作戦の説明を受ける。
任命されたのは飛行機に乗り直接敵艦に突入する特攻隊であつた。
正午が近づき、大きな音を立て羽根が回転を始める。推進力を得て機体が浮かぶ。
風を切り飛行機は空を進む。海に差し掛かり、こんなに海が綺麗だつたと気づいた。
向かいに飛行機が見えた。
その瞬間、轟音と共に翼に穴が開いた。
飛行機が墜落する。追撃される。
海が青いからか、周りは黒く染まつた。
目を閉じると愛する人がそこにいた。
そう、彼女もまた――。